「家族がうつ病かもしれない…」そう感じたとき、いてもたってもいられない思いになることでしょう。
そんなとき、何からどう支えればいいのか迷ってしまう方も多いと思います。
この記事では、うつ病当事者である私が、実際に家族にしてもらって「助けられた」と感じたサポートを紹介します。
また、されて嬉しかった接し方や、サポートする側が共倒れしないためのコツもお伝えしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
家族がうつ病かもしれないと感じたら?具体的なサポート方法7選

「最近元気がない」「つらそうな日が増えた気がする」——そんな家族の変化は、うつ病のサインかもしれません。
うつ病は、自分自身では気づきにくく、見逃されがちな病気です。
だからこそ、家族がその兆しに気づいたら、できるだけ早めにサポートしてあげることが大切です。
ここからは、家族にできる具体的なサポートについてお伝えします。
1. 症状をできるだけ詳しく把握しておく
まずは、どんな症状が出ているのかを注意深く観察してみましょう。
うつ病の可能性がある場合、いずれ病院で診てもらうことになるかもしれません。
その際、医師に詳しく症状を伝えられると、より適切な診断や治療につながります。
睡眠や食欲の変化、不安や焦りを感じている様子、日常の行動などをメモしておくと良いでしょう。
2. 精神科や心療内科への受診をやんわり提案する
家族の症状を見て「うつ病かも…」と思ったら、精神科や心療内科の受診をやんわり提案してみてください。
ただし、無理に受診を勧めるのは逆効果になることも。本人のタイミングを大切にし、あくまで“提案”にとどめましょう。
本人が「行ってみようかな」と思ったときに、そっと背中を押してあげられるのが理想的です。
3. 病院探しや通院をサポートする
病院に行く気になったとしても、うつ病の症状があると判断力が落ちていて、どこに行けばいいのか決められないことがあります。
そんなときは、病院探しを手伝ってあげたり、必要であれば一緒に付き添ってあげたりすると心強いはずです。
▼うつ病の病院選びについては以下の記事で解説しています。
4. うつ病への理解を深める
うつ病に関する正しい知識を持っていると、当事者の行動や感情にも理解を持てるようになります。
「うつ病だから、こういう反応になるんだな」とわかるだけで、サポート側のストレスもぐっと減るでしょう。
インターネットや書籍など、信頼できる情報源を通じて、うつ病について少しずつ学んでみてください。
5. 療養しやすい環境を整える
うつ病の回復には、安心して療養できる環境が欠かせません。
たとえば…
- 干渉されず、マイペースに過ごせる空間
- 家族が病気を理解し、受け入れてくれている雰囲気
- 不安や焦りなどの感情を吐き出せる場
- 病気の原因になったものが遠ざけられている環境
最初から、これらの環境を用意できなければいけないわけではありません。
少しずつ少しずつ、家族の反応を見ながら、ゆっくり整えていきましょう。
6. 困ったときは相談窓口を活用する
うつ病の家族をどう支えたらいいのかわからなくなったら、専門の相談窓口を頼るのも手です。
たとえば以下のような窓口があります。
- こころの健康相談統一ダイヤル(厚生労働省):自死を考えている本人や家族の相談を受け付けている相談窓口
- よりそいホットライン(厚生労働省の補助金事業):生活の困りごとや心の悩みなど、幅広い相談を受け付けている窓口
- SNS相談(厚生労働省):SNSやチャットによる相談窓口
他にも、精神科や心療内科、うつ病の家族を持つオンラインコミュニティーで相談するのも良いでしょう。
ひとりで悩まず、頼れる人にどんどん頼ってくださいね。
7. 自分の心身のケアも忘れずに
サポートを続けていく中で、あなた自身が疲れてしまうこともあると思います。
そんなときは無理をせず、自分自身のケアを優先しましょう。
うつ病当事者が家族にされて嬉しかった接し方

ここでは、うつ病当事者である私が、家族にされて嬉しかった接し方を紹介します。
「どう接してあげれば良いかわからない」と思ったときに、チェックしてみてください。
ただ話を聞いて、気持ちを受け止める
まず嬉しかったのは、私の話をただ「うんうん」と頷いて聞いてくれたことです。
「そんなこと言わないで」と否定することも、「こうしてみたら?」とアドバイスしてくることもなかったので、とても安心して不安を吐き出すことができました。
「あなたの味方だよ」という想いを言葉で伝える
私の家族は、「あなたの味方だよ」といった意味の言葉をかけ続けてくれました。
「あなたは悪くない」「間違ってないよ」「一緒にいるからね」などといった言葉です。
つい自分で自分を否定し、拒絶してしまう私にとって、この言葉たちは心の支えになりました。
回復のペースがゆっくりでも焦らず、いつも通りに接する
なかなか回復しない日々が続いても、変わらずいつも通りに接してくれる家族には、感謝してもしきれません。
うつ病患者さんのなかには、数ヵ月で回復に向かっていく方もいます
しかし、私は何年も何年も治療を続けているので、家族は「いつになったら良くなるのだろう」と不安に感じているでしょう。
それでも、回復を急かすようなことは、しないでいてくれます。
私が今も治療を頑張れているのは、気長に回復を待っていてくれる家族がいるからだと思っています。
▼うつ病の人にやってはいけないことを確認したい場合は、以下の記事を参考にしてみてください。
共倒れしないためにはどうすればいい?

最後に、うつ病患者さんのご家族が共倒れしないための対策を紹介します。
サポートをしていくなかで、ストレスを感じたり、不安に思ったり、体調を崩したりすることもあるでしょう。
そんなときは無理をせず、自分の心身のケアに集中してくださいね。
信頼できる相談相手を作っておく
共倒れしないためには、とにかく「ひとりで悩まないようにすること」が大切です。
家族や友人、病院の先生など、信頼できる相談相手を作っておきましょう。
サポートに疲れたり、辛くなったりしたとき、心の支えになるはずです。
自分にできること・できないことを理解しておく
自分にできること・できないことを理解しておくと、ストレス予防になります。
サポートをしていても、期待通りの結果が得られなかったとき、「やってあげたのに…」と落ち込みづらくなるためです。
例えば、食事を用意してあげることはできるけど、本人の食欲を促すことはできませんよね。
そう思うと、用意した食事を食べてもらえなくても仕方がないと思えるでしょう。
自分にできることのなかで、無理のない範囲でサポートしましょう。
自分のリフレッシュタイムを定期的に作る
自分がリフレッシュできる時間を、定期的に作ることも忘れないでくださいね。
うつ病治療のサポートは、四六時中しなければならないわけではありません。
サポートするのにも体力・精神力が必要なので、適度に息抜きをして英気を養いましょう。
目を離すのが怖い方は、他の家族や頼れる人に、「私が出かけている間、〇〇の様子を見ていてほしい」とお願いするのも手です。
最後に
私は、家族のサポートがなければ、今も治療を続けられていなかったでしょう。
自分ひとりのときは、不安と絶望に押しつぶされて、立ち直ろうとする気力すら失われます。
そんな私を見ても家族は変わらぬ笑顔で話しかけてくれました。
そういう存在がいてくれるだけで、「もう少し頑張ってみよう」と思えるものなんですよね。
あなたのご家族も、回復に向かっていきますよう、祈っています。
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。