うつ病の人にやってはいけないこと5つ。家族や友人に望むこととは

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うつ病の方に接するとき、避けたい言動があります。

それは「責めること・否定すること・過度な期待をかけること」。

悪気がなくても相手を追い詰めてしまうことがあるため、少し気をつけていただけると、当事者としてはとても助かります。

今回は、うつ病を経験した私が感じた「やってほしくないこと」や、家族や友人に望んでいたことについてお伝えします。

そもそも「うつ病」とは?

布団をかけられているクマのぬいぐるみ

うつ病は、脳の働きに不調が起こることで生じる心身の病気です。

詳しい仕組みはまだ完全にはわかっていませんが、性格・環境・遺伝など、さまざまな要因が関係していると考えられています。

主な症状は意欲低下、気分の落ち込み、食欲低下、頭痛、めまい、体のだるさと、さまざまです。

回復にかかる時間も人それぞれで、数ヵ月で良くなる人もいれば、数年、あるいは長期にわたって治療が必要な方もいます。

 

うつ病の回復には、本人の治療だけでなく、まわりの支えもとても大切です。

家族や友人のなかにうつ病の方がいる場合は、「どう支えたらいいのか」を考えることが、本人にとって大きな助けになります。

うつ病経験者が思う、うつ病の人にやってはいけないこと5つ

フェンスの上に頭を置く女性

ここからは、うつ病を経験した私が感じた「やってほしくなかったこと」を5つご紹介します。

大切な人の回復を願って、症状を悪化させてしまいかねない言動は、できるだけ避けてあげてくださいね。

1. 「ただ気分が落ち込んでいるだけ」と思う

まず避けたいのは、「ただ気分が落ち込んでいるだけだろう」と思ってしまうことです。

うつ病は、脳の働きがうまくいかなくなることで起きる“病気”であり、気分の問題ではありません。

そのため「1日寝たら元気になるよ」や「飲んで忘れよう」といった言葉は使わないようにしましょう。

当事者からすると、「すぐ良くなるよ」ではなく「ゆっくり治していこう」といった寄り添う言葉をかけられる方が安心できます。

2. 「頑張れ」と言う

「うつ病の人に“頑張れ”と言ってはいけない」とよく言われますが、それにはちゃんと理由があります。

うつ病は、気合いや努力で早く治せるものではありません。

むしろ「頑張らなきゃ」と思うことで、心がさらに追い詰められてしまいます。

「早く元気にならなきゃ」「迷惑をかけてはいけない」と自分を責めてしまい、回復にブレーキがかかることもあるでしょう。

もしあなたが伝えたい「頑張れ」が、「無理しなくていいよ」「ゆっくりで大丈夫だよ」という意味なら、ぜひそのままの言葉で伝えてあげてください。

3. 「自分は大丈夫だった」「別の友人はすぐに治った」などの話をする

「自分もつらかったけど、うつ病にはならなかった」「友人はすぐに元気になったよ」といった経験談は、うつ病の方にプレッシャーを与えてしまうかもしれません。

うつ病になる原因や回復までの期間は、人によってまったく異なります。

比較されたと感じて、「自分は弱いから治らないんだ」「もっと頑張らなきゃ」と、自分を責めてしまうことも…。

相手の気持ちに寄り添いたいときは例を出すより、「大丈夫だよ」「味方だよ」と寄り添う気持ちを伝えましょう。

4. 「考えすぎ」と言う

うつ病になると、どうしてもネガティブな考えや言葉が増えてしまうものです。

そんなときに「考えすぎだよ」と言われると、「自分の気持ちは理解されないんだ」と感じて、ますます落ち込んでしまう可能性も。

相手の心を少しでも軽くしてあげたいときは、「辛かったね」「そんなふうに感じるの、よくわかるよ」と、気持ちを受け止める言葉が適しています。

5. 社会復帰への期待を見せる

少し元気になって外出できるようになっても、「もうすぐ社会復帰できそうだね」と期待を伝えるのは待ってください。

その言葉が、「ダメだったらどうしよう」「期待に応えられるだろうか」と、うつ病の方のプレッシャーになるかもしれません。

 

うつ病の回復は、一進一退を繰り返すのが普通です。

少し調子が良くなっても、また気分が落ち込むことはよくあります。

少しずつ元気になってきた姿が見えても、焦らず、ゆっくりと見守っていてあげてくださいね。

「社会復帰できたらいいね」くらいの、あたたかく見守る気持ちが何よりの支えになります。

私が家族や友人にしてもらって嬉しかったこと

ハート型の葉っぱ

「やってはいけないこと」は多く感じるかもしれませんが、うつ病の人が家族や友人に望んでいることは、とてもシンプルで、特別なことではありません。

ここからは、うつ病を経験した私が「してもらって嬉しかったこと」を紹介します。

理解しようとしてくれる

家族や友人からされて何より嬉しかったのは、うつ病を「わかろうとしてくれたこと」です。

うつ病は、自分の意思ではどうにもできない心の動きがあり、そのこと自体がとても怖く、不安になります。

ひとりでは抱えきれないからこそ、家族や友人に自分の状況を理解してもらえるだけでも、安心感につながるのです。

変わらず一緒にいてくれる

うつ病になっても、家族や友人には変わらずそばにいてほしい――そう願うものです。

「前と同じように接してくれている」「自分のそばにいてくれる」

それだけで、うつ病の自分にとっては大きな心の支えになりました。

特別な言葉や行動がなくても、「変わらずにそばにいてくれること」が、何よりの安心につながるのです。

最後に

うつ病の人にやってはいけないことを一言でまとめるなら、「無理に治そうとしないこと」かもしれません。

本人も周囲も「早く良くなってほしい」と願うのは当然ですが、焦りや期待がプレッシャーになることもあります。

大切なのは、無理に変えようとせず、ただ「そばで見守ること」。

「いつか少しでも良くなればいいな」くらいの、あたたかい気持ちで寄り添ってあげてください。

それでは、今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。

 

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